漁魔が行く-04(魔餌木編)

必殺! 土佐鶴釣法<1>

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1999年2月1日

あしずり港(FLASH)

さあ、いよいよ釣りのシーンです。漁魔は数あるポイントの中からあしずり港を選びました。このポイントが優れている点は車を降りて、すぐに釣りはじめられることでしょう。5時頃釣り場に着いたのですが、用意をしていると地元の釣り人が続々と詰めかけてきました。

漁魔が釣りはじめたのはフェリー岸壁の点滅しているポイントです。岸壁から海面まで、およそ6メートル。高所恐怖症の人では釣りにならない高さでしょう。持ってきた玉網は物理的に届きません。もし大物が掛かった場合は決死の大移動が必要です。

灯台のある岸壁先端を回り込み、フェリー岸壁の内側まで、およそ50メートル移動するのです。内側は一段低くなっていて、海面までの距離が5メートルほどになっていました。

隣に来たオジサンとの会話

「ここは足場が高いですね。もし大物が釣れたらどうしよう?」

「大丈夫じゃ、ひょっと大物が食いついたらカギで引っ掛けちゃるけん」

「大物はどれぐらいですか」

「去年一番ふとかったのがは4キロじゃねえ」

「餌は何を使っているですか?」

「きょうはフグじゃ! あん人は生きアジじゃな」

この人はほとんど毎日来るらしく、大物を引き揚げるためのカギを装備していたのです。これで心強い味方ができました。あとは釣りに集中するだけです。

日没が満潮と重なりました。暗くなったころ1日中降り続いた雨もようやく上がり、いよいよ本番開始です。今日は大潮ということもあり、期待感は十分。北からの微風を背に受けて、エギの飛距離もグンと伸びます。

「おまんが使こちょるがは何?」

「エギですけど…」

「もっとしゃくらにゃ釣れんじゃろ」

「これぐらいですかね?」“ビシュッ!!”

「竿でグワァーッとな、グワァーッと」

「はあ」

「11月頃はそれで、こじゃんと釣れちょった」

しかし…、あたりが真っ暗になってもアタリはありませんでした。フグ餌のオジサンも、生きアジ餌のオジサンもまったくダメです。7時半頃、まずはアジ餌のオジサンが餌切れで戦線離脱。8時半にはフグ餌オジサンも帰ってしまい、ついに漁魔は広い岸壁でひとりぼっちになりました。 

(`⊥´!

万が一、大物が釣れたときのことも考えて、目一杯伸ばした玉網を岸壁の内側に置きました。そして、なおもエギを投げ続けます。エギはハヤシで買ったボーイングシャクリの3.5号。漁魔には『イカがいれば必ず釣れる』という信念があったのです。今までただの一度もイカ釣りでボウズを経験したことがありません。

でも、ときには信念がただの意地っ張りになってしまうことがあるんですよね。3時間しゃくっても何も起こらないということは、そろそろ場所移動を考えなければならない時間です。

『下之加江に行ってみるか…』

と、そのとき。今まで雲の陰に隠れていた満月が雲間から顔をのぞかせたのです。これで漁魔は勇気100倍。心に火がつきました。

アニメスタート後、すぐに音楽をスタートしましょう。

時刻は9時半をまわっていました。潮時で言うとちょうど下げ5分に当たります。

「よし! あと1時間、全力投エギだ!」

漁魔の心から迷いが消え去りました。過去に実績の多い下げ5分の潮にすべてを賭けるのです。

『もし10時半になっても釣れないときは下之加江に移動すればいい』

方針さえ決まればあとは集中力を高めるだけ。漁魔の目は真っ赤に燃え盛る星飛雄馬の目、そして腕、肩、腰に力がみなぎってきました。

「集中力充填 120% 波動エギ 発射!」

漁魔の脳裏で苦しかったイカ釣り修行の日々が走馬灯のように駆け巡ります。エギンガー養成ギブス、下田通いの道、イカ釣り甲子園、墨染めのエギ、そして根掛かりを外した直後にヒットした記念すべき大アオリ1号・・・。

“ビニュッ!”

午後10時、ついに来ました。小さいながらもアオリイカです。ヒットエギはボーイングシャクリ3.5号。

チビアオリ

『よし! これでイケル! モイカはやはりいたのだ』

チビアオリがヒットしてから1時間が経過しました。およそ5時間釣り続けなので漁魔の超人的な集中力もそろそろ限界です。干潮まであと1時間あまり、次のチャンスは朝マヅメの一時でしょう。

『何かが足りん、何かが・・・』

『魔エギを開発セニャ!』

『イカ心を読み切るじゃ!』

『イカに乗る気がなくても、エギ方からブチ当たれば…』

『そうじゃ! 大リーグ・エギ1号じゃ!』

『しかし、そげなもん、どげんすりゃできると言うんじゃい!』

《りょうま、悩んでも無駄だから早く寝なさい》

《そ・そ声は、明子ねえちゃん・・・》

漁魔の意識は薄れ、夜のとばりが岸壁のサニーを包み込みました。
果たして魔エギの開発は成功するのでしょうか?